世界でもがき日本を盛り上げる高木聖雄。新たな課題と共に次のステップへ

4月6日〜8日の3日間に渡って行われた「FISE WORLD SERIES Hiroshima 2018(以下FISE広島)」、そして4月29日に行われたBMXパークの国内シリーズ戦「2018Japan Cup 第1戦」でエアトリックショーに出演しているライダーに話を聞いた。


今回の登場人物はBMX パークの第一人者で常に観客の度肝をぬくビッグトリックを追い求めている高木聖雄。

■求められるのは、技だけでなくラインが重要

国内で高木聖雄と言えばビッグトリックのイメージが真っ先に浮かぶ。そして、彼自身もそのトリックを武器に今の地位を築いてきた自負がある。

しかし、2年前からFISEワールドシリーズに出場して以降、世界の壁の高さを突きつけられてきた。そして、初の日本開催となったFISE広島で、改めて気付かされたことがあった。それが、ラインの重要性だと話す。

「自分の中である程度ルーティンはありましたけど、とにかく難しかったですね。全然コースが乗りこなせなかったです。それが難点でしたね。乗りこなしとかその部分をもっと練習しなければいけないなと思いました」

Photo by FINEPLAY / May Nagoya

今回のFISE広島のパークの設定は、出場した多くの選手達が困惑を示す斬新的なものだった。観客が見やすいように「コ」の字型に設計され、周囲に様々な形状のクォーターランプが用意されたライン取りが難しい設定となっていた。中でも、特筆すべきはビッグジャンプトリック用のジャンプランプがなかったことだった。


前日のライダーズミーティングでは、海外ライダーから不満がでてくるような場面があったほどだ。


そして、迎えた本戦では、コースに乗れているライダーとそうでないライダーが明確に別れることとなった。


高木も苦戦したライダーの1人で結果は63位とふるわなかった。その苦戦した要因を高木に聞いたところ「バイクコントロール」をあげた。


ジャッジによる採点で順位がきまるBMXパーク。オリンピックの正式種目にきまり、世界各地で国際大会を重ねることで、採点基準も徐々に明確になってきた。


高さや、技の難易度など様々な採点項目があるなか、高木が最も重要だと考えるのが、「転ばないこと」だという。


そこには、どんなパークでも乗りこなすための、バイクコントロール技術が求められ、さらに「転ぶ」リスクを背負いながら、転ばないギリギリの難易度の技で勝負することが重要だという。


FISE広島を制したオーストラリアのブランドン・ルーポスがその手本を示してくれた。コンテスト中、彼がけして最高難易度の技をだしたという訳ではない。これまでに無い形状のパークをしっかりとのりこなし、ミスのない確実なトリックをチョイスして走り遂げた結果、ライバル達の得点を上回ることに成功した。

Photo by @cedricderodot-2018 FISE HIROSHIMA

記念すべき第1回目の日本開催となったFISE。3日間で集まった観客の数はなんと8万6000人。国内エクストリームスポーツの歴史に残る大会で、高木は自身の持ち味を魅せることができなかった。


エアトリックショーをはじめ、日本のBMX界をもりあげるお祭り男、高木にとってはなんとも悔しい結果となった。しかし、同時にこれから始まる戦いにむけて大きな収穫を得たことは間違いない。

■ライディングに込める日本代表としてのプライド

4月29日。高木はBMXフリースタイルの国内シリーズ戦「2018 Japan Cup 第1戦」鵠沼大会に出場した。そこでインタビューに答える姿に迷いは感じられなかった。明確となった課題と、自分のやるべきこと。それらがしっかりと頭の中で整理されていたようだ。


そんな世界を視野に入れて挑戦を続ける高木だが、国内大会にもしっかりと重きをおいている。


それは、日本を代表して戦い続けるトップライダーとして、日本のファンにしっかりとしたパフォーマンスを魅せる責任があると感じているからだろう。


ライディングだけでなく、立ち振舞、会場の盛り上げ方。そして、他のライダーへのリスペクトの気持ち。


そんな次世代につながるライディングを常に心がけてきた高木のファンは多い。気持ちの入ったライディングが多くの人の心を打ち、またあの熱い走りを見たいと思わせてくれる。

ジャパンカップ第1戦は、若きエース中村輪夢が優勝し、高木は2位。それでも今の高木にとっても納得の結果ではないだろうか。


というのも、中村はFISE広島で9位に入り、今や、世界でもトップランクのライダーだ。中村との差は世界との差でもある。課題は見えている。だからこそ、前だけを見据えて、走り続けていくしかない。


そんな強い信念が、今回も多くの人の心に届いたことだろう。

MCの「タカギトシオ」のアナウンスとと同時に、ひときわ大きな歓声が湧き、ライディング後には多くのキッズが囲む光景が物語っている。


次戦は5月9日から始まるFISEフランス大会。高木聖雄の東京五輪にむけた勝負は、これから本番を迎える。

TEXT:荒井隆一/継松彰宏

FILMED & EDITED 継松彰宏